きみのちきみ120%




17歳

最後に会ったのは
17歳のきみ
きみの記憶はそこで途切れている

だけど
受話器の向こうに
いつでもきみの声を聞けたから
想いはずっとつながっていた

いまでも
街行く角で
きみとすれ違ったような錯覚に襲われる
振り返るわけではないから
きみであったのかも知れないし
きみでなかったのかも知れない

そんなことはどちらでもいい
きみを感じられたこと
それだけで
昔に戻れたようで
楽しくなるよ




乙姫さま

25年が過ぎて
きみとは?
そして俺とは?
何だったのかな

ただ若いことだけが取り柄の
何処にでもいた女と男
25年が過ぎて
そんな唯一の取り柄さえ消えてしまって
もはやきみに振り返る男もいないかな

25年も過ぎれば
好きという感情すらうやむやになってしまう事実に
昔は気付かなかった

歳をとってしまえば
その程度のものに成り下がってしまうきみへの想いに
なぜあれほど眩いばかりの未来がぎっしり詰まっていると
勘違いしてしまったのだろう

夢から覚めたら
白髪の浦島太郎がただ一人
見知っていた人たちの姿は何処にもない
もちろん龍宮城に帰る手立てもない



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