世界が深呼吸する日




さよなら国
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。


みんな みんな
笑顔で「さよなら」をかわします。


時には おじぎまで
時には なみだまで


ボクがいる ここが
さよなら国だったなら
こんなにも かなしくはなかったのに



とおい日の、ホライズン
毎日が
ずっと、遠浅だったらいいのに

って、言ったのは
あなただったか、わたしだったか、
もう わすれてしまった
うつろいやすいふたりだったから
ただ
手をつないだ

波が
いつまでも海と
わたしたちをへだてるので
泣きだしそうになってあわてて
さっき拾った小石を
堤防から捨てた
かえってくるって
いたずらに、信じてた

おぼえていること
いないこと
つなぎあわせたら
流線型の、パッチワーク
すくわれるあしもと
ときどき沁みてくるのは、あのときの、なみだ
それとも

(毎日が、)
(ずっと、遠浅だったら、いいのに、)

手をつないで
わたしたちはあるこう
ふりこみたいに
やわらかくゆれながら
きのうから、はみださないように

とおい日
つかめないままやりすごした
なにもかもが
すぐそこの、水平線のところに



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