「超越」と「絶対的遅れ」




データ


作者名 作品の分類 ページ数
竹内信昭 哲学 222

書籍サイズ ISBN 定価(税込・円)
B6 978-4-903447-08-7 2,052




概要
以前、「要請されるモノと見出されるコト」という題名で、出版した。その中身を要約する。

外界の事象を受容する主体としての「自己」とは何か。またその「自己」について考えている自分は何者なのか。この無限に続いていく問は往々にして、途中で挫折し、人間は、「自己をめぐる動きのなかから」導き出された自己をその本質だと考えてしまう。このような「妥協の産物」としての自己の定義を乗り越えて、さらに本質的な「自己」について考察しようとした。

そのために、二つの方法をとった。

一つは、日常の意識の中にあらわれる自己について考察する。もう一つは、意識の中に現れる自己について、「言語の構造」からせまっていこうとした。つまり、「〜について」考える自己認識の限界、すなわち、言語の定義、思考の枠組みを通じ、外側から自己の主体に迫っていった。

これら二つの面から得られる「統一した自己像」により、歴史を振り返り未来を展望しようとした。

その際参考にしたのが、精神医学者である木村敏の著作である。鬱病や精神分裂病患者の独特の「時間」感覚を通じて「自己」を追及した木村の論は、自己が認識する「空間」や「時間」の定義づけである。

歴史を振り返り、未来を展望しようとするとき、自己対社会の捉え方、あるいは認識の違いが、いかに社会や文化に影響をおよぼすかを考えた。

一般に西欧人に比べ「自己の確立」が不十分であると言われる日本人の「自己」意識についての歴史的な考察を、明治以降の近代社会の前提としてあった西洋的な「社会」や「自己」概念との乖離によることを指摘した。日本人が漠然と抱いていた近代社会、民主主義的概念との違和感の根源を明らかにしようとした。

「世間を脱していく過程で、この自立を獲得していった西欧と、世間の中でもがいている日本との違い」から、歴史を見直そうとしたのである。

グローバル化、世界の一体化が進む中で、我々が真の「自己」の確立を獲得するためには、「時間の商品化」や「言語によるコトのモノ化」に対して、「時間」「コト」の本質を人類史という大きな視野で再考し、人間関係を再構築すべきであると考えた。

今回、新たに提起しようとした内容は、基本的には、前作を基本としつつ、「自己」である私の「言語構造」つまり、「認識の構造」にかかわる「超越」と「絶対的遅れ」の観点から、さまざまな問題を考察し、さらにそのことと、「国家、資本、民族」の連関を明らかにしようと試みた。

その際、人間の生と死にかかわる語り方の考察を通じて、個人と社会のあり方、あるいは、国家とネーションのあり方の歴史的経過をたどろうと考えた。

徹底して、自己とは何かを考察していく過程で、言説に潜む、語る主体の超越と、認識する対象の知の、対象からの絶対的遅れを考察することによって、要請するモノと見出されるコトの逆説的な関係が明らかになるであろう。




目次
一、内省をめぐって
  1、「自己」と「時間」
  2、「記述」と「時間」
  3、「時間」と「空間」
  4、「空間」の成立について
  5、「モノ」と「コト」について
  6、精神医学と「時間」


ニ、言語の構造を中心として
  1、言説の意味するもの
  2、概念とイメージ
  3、私の成立について
  4、「超越」と「絶対的遅れ」


三、社会を中心として
 T、言語の誕生まで
  1、地球と生物の歴史
  2、言語の生まれる時
  3、人類史と言語
  4、言葉について(ことばと文化)
 U、文明社会以降
  1、近代哲学と「時間」
  2、近代哲学と市場社会
  3、世間について
  4、個人の成立と中世社会(西欧と日本の比較)
  5、中世およびルネサンスとは何か
  6、所有権と貨幣
  7、近代社会の成立
  8、所有権と貨幣
  9、「時間」の商品化
 V、現代社会
  1、グロバリゼーションと国家(ネーション)
  2、商品の発生による、資本の働き
  3、資本とは何か
  4、資本制経済の発展
  5、産業革命以降
  6、日本における市場社会の成立と産業革命、そして、現在
  7、現在の日本の状況および世界の状況
  8、戦前・戦中・戦後の思想から見た状況
四、人類史における「超越」と「絶対的遅れ」
  1、太古における、超越と絶対的遅れ
  2、いわゆる「神」について
  3、核戦争の時代と歴史
  4、「貨幣による時間の商品化」と「言語によるコトのモノ化」

おわりに

結び

参考資料



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