SEASONS 2008 Winter




【朝】 by 落合朱美

シャワーのノズルが
思い出し笑いにゆれて
ストーヴの上のケトルは
そ知らぬ顔で湯気を吐く
珈琲メーカーが
気ぜわしく捲し立てる

昨夜の情事のおかげで
不意に寝場所を移された猫が
ふきげんに鎮座する窓辺に
遅い朝陽がぽっかりと
顔をのぞかせれば
夜はお終い

さりげなく散らかった部屋の
ベッドは無関心を装うけれど
まだ熱を伴う肌の
余韻は隠し切れない

恋人たちの夢の跡



【風邪薬。】 by Lhasa

貴方にもらった風邪薬
無くしちゃったことにしよう。

貴方の温もり優しさを
いつも以上に感じてたいんだ。


貴方にもらった風邪薬
効かなかったことにしよう。

現に私は軽い目眩と
微熱に少し悩まされてる。


貴方にもらった風邪薬
部屋にたまっていくばかり。

いつも私は口実と
言葉選びに悩んでる。


貴方にもらった風邪薬
もらったものはそれだけじゃない。

私の赤いほっぺたは
風邪のせいではなかったみたい。



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