ラオスの農業と日本の農業の共通するところは少なくない。農産物作付
面から見ると米作偏重の農業であることである。このことはアジア米を主
食とするアジア諸国と共通している。米といっても日本ではウルチ米がほ
とんどだが、ラオスではもち米が主である。これは日本とラオスの食習慣
の違い、より腹持ちのいい米としてのラオス人の知恵みたいなものを感じ
る。それでもラオスは日本と違い主食の米でさえ自給できずにいて、日本
の米過剰の状態とは違う。しかし日本も数年前天候不順により外国から米
を緊急輸入する事態に陥ったこともあり、ここに食糧自給の脆さがある。 日本は長い間、食糧管理制度が採られ、生産者に安心して米生産ができ、 安心して消費者が米を消費できるという制度があり、米の生産量を増やし てきた。このことは評価できる。生産量の増加には農家平均1ヘクタール という農地に化学肥料、農薬の投入や農業機械の普及、品種改良などの 過剰ともいえる投資を行ってきた結果による。国、県、市町村といった行政 機関、農業協同組合といった農業組織はそれを支援してきた。その結果、 確かに単位当たりの収穫量は増えたが、コストの面が多大となり、農家の 経営は厳しくなっている。そして、米以外の農産物は価格の安い中国、台 湾、タイといった国々からの輸入が激増していて、もはや太刀打できない 状況にきている。 ラオスも農産物の多くをタイから輸入しているが、国内での生産が需要に 追いつかないという理由で決して輸入野菜が安いということではない。ラ オスの耕地は赤褐色の痩せた土地で、農業をする条件としては不利である が、それでも農産物の生産は行われており、農家の生活は厳しいながら成 り立っている。農民争議といったこともほとんど見られず歴史は流れている。 日本の農地への過剰投資をしている農家と投資があまりできないラオスの 農家は、生産性・収益性から一概にどちらが優れているのか判断できない。 |