職務発明裁判集W




2010年(平成12年)に本書「裁判集T」を送り出して、今回「裁判集W」を数えることとなった。

この間に、平成16年と平成27年に特許法の改正が行われ、同法35条の「職務発明制度」も改正された。

改正の理由として、
・相当の対価を巡る訴訟のリスクの低減
・イノベーションの障害となり得る、二重譲渡及び権利の帰属の不安定性の問題の解消
などが指摘されていた。

確かに平成16年改正法以降の特許法による対価等の請求訴訟は殆どなく、この観点からは、法改正により訴訟リスクを低減する効果はあったものと考えられる。

また、本書「裁判集V」を送り出してから4年経過したが、公表された判決を見る限りでは「相当の対価」請求に係る新たな訴訟も減少している。

本書は、業務経験から、「相当の対価」請求関連事件の判決例を整理したものが欲しいと思い作成を開始し、当初は企業法務の担当者と発明者の双方に役立てて欲しいとの思いを込めたが、平成27年の改正により「使用者の原始取得」が可能となったことで、その役割も終わった感がある。

本書が「職務発明裁判史」の記録の一助となれば幸いである。


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