立ち読み

『 ZERO POINT 』 ( iP project )




「fact」 山岡 稔


嘘つきが好きだと 彼女が僕に笑いかける

僕の言葉は どれだけ信じられてるんだろう
嘘ばかりではないと 自分では思ってる
だけども彼女の笑顔は いつもゆるがない

他愛のない話が 彼女の好みと知ってる
だから僕は そんな話ばかりをし続けてる
でも全てが全て 作り話なわけじゃない

話題に事欠かないと 彼女は嬉しがってる

彼女の笑顔のためなら 僕は道化でも演じる
その覚悟はあるけど 時には不安にもなる
きちんと心に 響かせてれるんだろうか

実は何も残ってない そう考えると悔しい
自分で言うとあれだけど 真心なら軽くない
重荷に感じられると 困ってしまうけども

本当に君は嘘つきねと 彼女は今日も微笑む


「浮遊するナマコ」 そめや じゅん


大好きだったんだ
夜明けに出来るこの街の影も
少し海の匂いがする風も
あのとき、止めなかった小さな背中も

ずっと大好きだったんだ
今でも思い浮かべるたび
暗闇は解けないけれど
そんな僕を、あの頃のように
笑い飛ばしてくれたらいいのに



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