「安定剤」 とだ こころ 約束がないと安心できない。 たとえ守られない約束であっても。 呆れるくらい約束だけはしてる。 そしていつも直前でキャンセルされる。 それでも繰り返し約束を求め続ける。 「ごめんって。あたしこんなだから」 半分くらいはもう諦めてる。 だけど絶対無理とは思いたくない。 いつかきっとなんて夢見てる。 「もう謝るしかないよ。ごめんよ」 劇的な変化なんて高望みしてない。 ほんの気まぐれでもいいと思ってる。 きっと歯車が合うことだってある。 「毎度だよね。なんでなんだろうね」 それでも約束はして欲しい。 希望があればまだ笑ってられる。 |
「影を踏まないように」 萩村 昧人 いつしか追い掛けて来たり かと言えば先導していたり 千切れそうに伸びたり 潰れそうに縮んだり 狂わせそうに歪んだり それもまた自分だったりする いつも近くそばに 誰でもなく共に そっと足下に寄り添う姿は 生まれてからずっとそう 私と私 映り出す静なる挙動 |