SEASONS 2018 Summer




『みちくさ』 ミチタリル


君との散歩を楽しみながら
青の漲(みなぎ)る道草にふと
足を止めてみる

君は草いきれに鼻を寄せ
もう会話を始めたようだね
風に尻尾がそよいでいるよ

僕も仲間に入れてほしいと
耳を欹(そばだ)てるけど君はもう
隣の道草を友達にしている

燦燦の陽(ひかり)を浴びて
生い茂る道草に

僕たちは
あちらこちらで足を留め
ちょっとだけ・・・、

またみちくさ。


『川』 藤井道木


森の中
川辺にすわり耳をすませば
小鳥の鳴き声が聴こえ
こころ静めてくれる

そして
そっと目を開ければ
川岸に花達がそよそよ風にゆれていて
川はキラキラきらめきながら
たださらさら流れゆく

静寂の中で川を見つめていると
人の中にも川の中にもかなしみはあるだろと
いまこの時思う

川よそのことを誰も気付かないかもしれない
けれどせめて私だけでも気付いているから




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