SEASONS 2018 Spring




『詩』 高橋英夫


詩など
おぼえるではなかった。

言葉など
おぼえるではなかった。

つらい詩など
うたうではなかった。

詩という虫など
飼うではなかった。

やつはいつから
棲みついていたのか

やつを駆除する機会はいくどかあった
だがやつがいるから生きてゆける


『送別会』 まじきのびろ


群青の空を
覆いつくす桜

ざわめく桜に
覆いつくされた桜色

離れたくないのよ
そう言えたなら

月明りが青くあなたの背を示す
とんでいってだきつこうか
それともそっと手をつなごうか

素知らぬ顔で
はしゃぎながらビールを開ける

あなたとのこと
ひとつひとつ
なぞりながら

花びらに
想いをこめて




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