SEASONS 2016 Autumn




「猫と私」 by 鈴木いく子


外に出る時私は靴を選びます。けれども猫は選
びません。プニプニした肉球で外も家も一緒。
時々なめてきれいにしています。私は少し服に
迷います。けれども猫は迷いません。いつも同
じ柄の毛皮です。たまになめてきれいにしてい
ます。猫はうっすら目を開けてゆったり横たわ
っています。私はせかせかしています。ゆった
りしてみたいと思いつつ。


「秋桜揺れて」 by 唯沢遥


高く澄んだ空は
少しだけ冬に近づいて
青の色を薄めている
透明な風に揺られている
秋桜は
大地を覆いつくして
秋の名残を惜しんでいる

優しい花だね
厳しい冬を前に
清楚に咲く
淡いピンクは
少女の恋にも似て
わずかに女を思わせる
そのぬくもりで
生きる力を与えておくれ




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