うたい




週末
水面に映る陽の光
下心のない輝き
とめどなく光は降りそそぎ
水面に映る陽の光

価値の序列は人が勝手に決めるだけ

水面に映る陽の光
光が光を薙ぎ
新たな光が輝く
涙が出てきた
急いで水面に顔をつけて言った
「夢はあるかい?」
顔を上げて、笑った

廻り続ける
ここには透明の階段がある
昇りたい奴は勝手に昇っていく

透明だ
今日も何人が階段を踏み外したろう
透明だ
昇った先のことも昇った奴にしか分からないんだろう

ここには透明の階段がある
その隣でボールに閉じ込められ、階段の周りを廻り続けて
空気穴を探す俺が居る

閉塞だ
空気穴を探すために今日も走る、もがく
閉塞だ
そんな事おかまいなしに今日も他人は昇っているんだろう

それでもいつか


空気穴を見つけ出し光を



しかし、いまだもってそのような話を聞いた事は無い




だが、光に向かい透明の階段を這いずる男が確かに一人
あそこに一人


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