職務発明裁判集U




2011年9月以降に公表等された一審判決と上訴判決等を「職務発明裁判集 U」として刊行することとした。

上訴判決等については、事件の経過を理解できるように、下級審での判決内容も併せて示した。

この期間には、和光純薬,NECトーキン,アステラス,ニプロなどの判決がなされ、東芝のワープロ発明については知財高裁において和解が成立するなどが特徴的な事例であった。

また、2005年施行の特許法35条改正後の新法下における判決(東京地裁 平成23年(ワ)第6904号)もなされたが、職務発明の対する対価の算定方法を定めた社内規定のない事案であり、法改正のポイントである「合理性」を争点とするものではなく、改正前法と同様の裁判所の判断がなされた。

一方、改正後の新法においても対価に関する社内規定が不合理な場合には裁判所が「相当の対価」を算出する仕組みが維持されたため、使用者側の訴訟リスクが残り、イノベーションの足かせとなるなどの意見がなされ、2012年12月には「産業横断 職務発明制度フォーラム」が開催され、職務発明制度の在り方が本格的に議論されるに至っている。このような中で、職務発明制度について、特許庁や政府の知的財産戦略本部において、所謂「法人発明」の検討が本格的に検討されることとなった。

本書がこのような流れの背景等を読み解く一助となれば本望である。



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