『弓取りの文字力』

‐現代武道家必須の読み書き術‐




データ

作者名 作品の分類 ページ数
守屋達一郎 弓道 125

書籍サイズ 定価(税込) ISBN
A5フルカラー 2,200 978-4-86420-316-6




概要
『道場で武道稽古をするばかりでは片手落ちである』と常々語る現役精神科医で弓術家の著者が、満を持して世に問う一冊。

武道の技量を上げ、さらに人格陶冶を臨むのであれば本を読まねばならない。しかし、それだけでは不十分であると、著者は説く。真に読むためには、文章を書いていく必要もある。そのため、現代の『弓取り』ともいわれる武道家には深いレベルでの『読み書き術』が求められていることに、どれだけの方が気づいているだろうか?

多方面で精力的に著述や投稿を続ける著者が、学生時代より培った珠玉の読書法と著述法がここにある。多く読むためのコツや、書くための具体的な手法、そして書くネタの集め方などが凝縮されている。特に著述訓練期における著者自身の赤裸々なエピソードや書物全般に対する臨み方の提案は圧巻である。

本書は、弓道誌『弓道日本』の第63号~第69号(太陽書房)にて連載された記事を単行本化されたものである。武道に限らず、あらゆる分野で活躍をしたい人にとって必携の一冊となるだろう。


著者コメント
 本気になれば、自身を高める手段は枚挙に暇がない。ただどれも即席にはいかない。
 もちろん武術の技量も徐々に向上するものではない。日々の倦むような鍛錬の末、ある日突然改善する。だから昨日より今日が少し向上したということではない。生まれ変わるような改善を経てこそ真の術である。
 ただし急激な進化は難しくとも、改善を促進させることは可能である。
 それは感覚の更新に他ならない。
 しかし、それをただ待っているだけでは進歩は遠く、自ら掘り起こさねばならない。その時に必要になるのが、読書と著述なのである。読書や著述にも日々の鍛錬が必要であるが、これは徐々に向上する類ともいえる。
 本書は季刊誌『弓道日本』(太陽書房)において、『弓道家のための読書著述指南』(全7回)として掲載されたものを、加筆の上で単行本化したものである。
 筆者が同誌への投稿を始めたのは、23号(2012年7月)からであり、現在に至るまで12年以上に続けている。
 自身、決して特別な文才があるわけではない。ただ備忘録の延長で書き溜めたものを、まとめる機会していたに過ぎない。特に本テーマについては学術的なものではなく、あくまで筆者の経験談である。 だが投稿への張り合いが、自己の修練に計り知れないほどの影響を与えてくれていたことも事実だ。 何とか弓を続けていられるのも太陽書房の方々、及び編集委員の皆さまのお陰と、改めて感謝の意を申し上げたい。
 特に精神科医師という職業柄から、精神論に偏ることは極力控え、むしろ技術論をより重要視する立場で論じてきたつもりである。その背景には本業の精神医学に限らない読書や著述があった。
 そこで勝手に記念企画として、武道家(弓道家)としての読書方法や著述方法について述べることにしたのである。
 書きながら痛感したのは、書き続けるには読み続ける背景が必要であり、各々幾ばくかの技術を要することである。
 一方で、若者の「読書離れ」はいつの時代も問われている。加えて最近は「書ける人」が少ないとも聞く。特に最近ではSNSなどのように短文で済ます手法や、短い動画でのやり取りも多くなり、読書に限らず「著述離れ」も増えているであろう。
 このような状況では、そもそも「何かを書こうとする意欲の持った者」が減っているのだろうか?それとも、「書く技術」がないが故に書けないのか?と疑問に思っていた。
 もし技術の問題であるならば、何かしら対策はあるのではないかと思いを馳せた。
 そこで多分に独善的な内容ではあるが、読むことと書くことについての私見を披歴したのが本書である。筆者の武術稽古は弓術が主体であり、本書も一部弓術関連に特化した内容であるが、いずれも一般武道全体に共通すると考えている。
 そのため本書は弓道人に限らず、一般武道家であるいわゆる現代の「弓取り」の方々(中級者以上)を対象とした。なお、弓道未経験な方には、弓道の基本的な動きについて巻末の略解を参照して頂きたい。 若造のくせに読み書きの本を著すなど……身の程知らずも甚だしいとの自覚はある。しかし、あえて声を上げなければならない状況も知っている。そして、筆者は未だ声を抑えるほどの修養には至っていない。だから本書が著せた。
 皮肉だが事実である。
 自身を棚に上げるが、このような本が出てしまうこと自体が問題なのである。しかし覚悟はある。それこそ空海が言うように、筆者も自身の頭蓋骨を硯とし、骨を筆とし、皮膚を紙とし、血液を墨として著した。
 この覚悟の上で、もし筆者の自己中心的な勉学方法が、少しでも役に立つことがあれば幸いである。


(「はじめに」より抜粋)


目次
はじめに

第1章 読書法指南

 1. 武道書の私的分類
 2. 学びは武道書に限らない
 3. 伝書の難解性
 4. 批判的吟味で本物を見抜く
 5. 近年の弓道書への疑問
 6. 武道家が執筆する必要性
 7. 批判あることに感謝
 8. まずは多読を試みる
 9. 多読から味読へ
 10.読むスピードは人それぞれ
 11.読書の落とし穴
 12.「机上の実論」から「正しい問い」へ

第2章 著述法指南

 1. 著述のススメ
 2. 自身の訓練歴
 3. 著述の実践
 4. ネタの集め方
 5. 推敲・校正のススメ

おわりに

謝辞

引用文献

主要参考文献

補足資料‐射法八節略解‐

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