愛知、三重、静岡、山形各県の離島における通過儀礼の特徴と変遷

- 少子高齢・過疎化のもたらしたもの -



データ

作者名 作品の分類 ページ数
尤銘煌(ユンミンホアン) 社会学 202

ISBN 書籍サイズ 定価(税込)
978-4-86420-045-5 A5 3,300




概要
恩師二宮哲雄教授は『東海地域の社会と文化』という著書の中で以下のように述べておられる。「東海は日本のミドルリージョン(Middle Region)であるかという問いであった。 東海は日本列島の中央部に位置している。そして、東北や西南のみならず、関東や関西、さらには北海道や九州(西南に含まれる)、沖縄と比較してみても取りたててその地域の個性を列挙されることは無かった。これを逆に言えば、日本のどこにでもある日本を代表する平均的なミドル(Middle Region)の性格を持っているのではないかと考えたのがその理由である」

このように東海地域は東日本文化と西日本文化の中間に位置している。東海地域を調査すれば日本の平均的な性格を見出すことができると考えられる。故に、いち早く少子高齢・過疎化に見舞われた東海地域の離島を研究すれば日本の未来が予測でき、これから直面するさまざまな課題を解決するヒントが見つけられるのではないかと考える。そこで、東海地域の離島をフィールドとして、現代社会において最も重要な課題である少子高齢・過疎化と伝統風習(通過儀礼)を考察することとした。

東海四県の中には岐阜県を除く静岡、三重、愛知三県で離島が10島ありそれぞれ特徴がある。それは、静岡県の唯一の離島「アイランドリゾートの島―初島」、愛知県の「アートの島―佐久島」、「(タコ(多幸)の島、フグ(福)の島)―日間賀島」、「東海の松島、おんべい鯛の島―篠島」、そして三重県の「女護の島―渡鹿野島」、「真珠の島―間崎島」、「三島由紀夫の潮騒の島―神島」、「寝屋子の島―答志島(答志町)」、「海女の島―菅島」、「人口密度が世界一高かった島―坂手島」である。それらを現地調査地とし、それぞれの島における少子高齢・過疎化がもたらした通過儀礼の特徴と変遷を探ることによって日本の社会、伝統儀礼の行方を明らかにすることができると考えた。

海に囲まれている自然の島での暮らしの中で生まれた、島民の通過儀礼という先人の知恵はどのような変貌の過程をたどってきたか。また通過儀礼と関連している地域、社会、家族、親族、宗教などについても現地調査を踏まえて分析してみたい。また、少子高齢•過疎化に対処するために、島民たちはどんな独自の離島振興策で過疎化の防止と島の活性化をはかってきたか。そして、それらの振興策が島の通過儀礼にどんな影響を及ぼしたかをも究明したい。最後に、諸離島における通過儀礼が希薄になった主因を解明し、日本全体の将来像を考える参考にしたい。


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