【潮騒】 by 岡村明子
秋が始まるのでない
夏が終わるのだ
夜が来るのでない
昼が行ってしまうのだ
どこかで風鈴が鳴る
湯船に腕枕
冷えていく髪
散る もの は 散り
実る もの は 実る
水滴を追って指でなぞる
冷めやらぬ
からだの火照り
耳を澄ませば
潮騒遠く
白い貝殻だけが残った
【抱きしめたくて】 by pipin
あいまいで
抜け出せないで
あいまいで
追いかける
指でなぞって
心をなぞって
逢えたことの意味を
確認するために なぞるのか
あなたの背中探す指
秋の夜の静けさに
恋しくて泣きたくなる両腕を
すすきが優しくさすってくれる