エンジニアの大反撃




【愉快な人生にしよう】

 先日、テレビを何気なく見ていた時のことである。「人間が一番気持ちの良い時は、思想と行動と感情が一致している時です」というある心理学者の声が流れてきた。以前、新聞・テレビ等で「出家」とか「洗脳」といわれる言葉を幾度となく見聞きしてきて強く印象に残っていた。テレビを見ていた時、心理学者が言っていることは実は、「出家」「洗脳」の意味を理解するヒントになるのではないかとピンときたのだ。

 思想とは、自分の行動の基本になる考えとか自分が何を大事に思っているかという価値観のことである。行動とは、考えを実行に移していく事である。感情とは、人・物事に対しどう感ずるかという心の動きである。これら思想と行動が一致したときに感情的にも最高の高揚感を得るのである。つまり、自分の考えやものの見方から、あるべき姿(理想・目的)があり、その方向に向かって行動していることが一番好ましい状態なのである。

 例えば、Aさんが「温泉は体の健康のために効能があり、精神的にもリフレッシュできる。だから、今度の連休には温泉にのんびり行きたいな。」という考え(思想)を持っているとすれば、Aさんは連休には温泉に行くことが気持ちいいことなのである。仮に、仕事の都合で行けなくなったとすると、面白くないはずである。せっかくの計画が駄目になり、不愉快な感情を呈するのである。ところが、仕事上の止むを得ない理由を自分なりに理解して、仕事の方がむしろ重要であると納得しさえすれば、今度は仕事をすることの方があるべき状態となり、その方向に向かって行動する。そして、仕事をすることが心の平静につながる。つまり、「重要な仕事上のことだから温泉に行かなくてもいいや。むしろ、今回は避けた方がいいな。また、次の機会にしよう。」と自分を納得させることができる。このことは、外部の変化に対し、思想(考えや価値観)を変えたことが、行動(行かない)と感情を変えたことになる。

 要するに、思想・行動・感情の三角構造の一角を変えると、人間の本能として残りの二角を一致させるような力が働くのだ。したがって、洗脳すると言うことは、思想と行動と感情の三者のうち一つか二つを徹底的に変えることにより、本能の働きで残りの一つか二つを変えることであるといえそうだ。そして、異なる考えや価値観を持つ人間に変化させることであるといえよう。人間は、思想と行動と感情がお互いに影響しあって同居しているようなものなのだ。

 また、人間とはわがままな動物であるが、一方では融通がきく動物でもある。
 人間とは、意志が強そうであるが一方では、いやな事に敏感で悩みやすい動物でもある。
   〃  理性がありそうだが一方では、感情の起伏の激しい動物でもある。
   〃  個性を求める一方では、人と同じ事をしたがる動物でもある。
   〃  自立を望むが一方では、孤独が嫌いで仲間を作りたがる動物でもある。

 このように、人間とは大変複雑で理解しがたい高等動物であるのと同時に、また一方では、自らの意志と努力で自分をあるべき方向へ引っ張っていける偉大な動物なのである。

 だから最も重要なことは、セルフコントロールである。つまり、自分の周りで起きていることは、その瞬間では悲しいことや辛いことであるかもしれないが、長い目でみると、すべてが自分にとってプラスに働くと考えることで人生を愉快なものに変えていける能力をもっている。

 最後に、エンジニアは自分にできることは何か、何を変えていけるのか、といったことを常に考えながら行動しよう。また、片意地張らず身体から無理な力を抜こう。すると、ふとしたきっかけで何かをつかみ、人生の明るい愉しい前途が開けていくに違いない。


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