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帰り来て夜の金魚に餌を与ふ水ゆらめきて心ほぐるる


「わたし」とは記憶にすぎず丁寧に履歴をしるす一枚の紙


蒼穹へ去りゆく蝶を見つめをりかつて何かを諦めし眸に


老い父は二階に上がり花を替へ母の遺骨にもの言ふ今朝も


いづくへと渡る群れ鳥眠らざる都市の夜空に羽音光れり


春愁や宇宙の涯のその涯の


白昼や玻璃にはたたく蝶の影


若草に君のアキレス腱まぶし


あぢさゐの色をかへたる狐雨


夕蝉や古城の濠の水鏡



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