こんな雑学、あり?

−ミニうんちく辛口コラム100−




脳トレや雑学がブームです。

「様々な物事に関するまとまりのない雑多な知識」、それが雑学ですが、多くの知識を単に頭に入れるだけでは受験勉強の暗記ものと大して変わりはありません。多くの場合、雑学として得られる情報は、氷山の一角です。それよりも、1つの知識のウラに隠された情報にも思いを向けた方がもっと面白いのではないか、雑学の内容次第でそんな興味を持ったことは誰にでもあるのではないかと思います。

一般的に雑学は、意外な事実を知るという要素が楽しみの1つではありますが、その陰には、全く省みられなかった情報や忘れ去られてしまった価値観など、大切なものも見え隠れします。時にはそんな要素を拾い上げてみるのも、知識の幅を広げるのに役立ってくれます。失くしたものの大切さ、この本では意外性よりもそんな視点に重きを置いています。その失くしたものには、どんなものがあるのでしょうか。

加速度的に進化する情報化社会の中、本当にたくさんのものが生まれる一方で、私たちは知らず知らずの内にたくさんのものを捨てたり省いたりして生活しています。効率を求めるあまり、気がつくと長年の慣習さえいつのまにか失くしています。中には本来、捨ててはいけないものまで省みられなくなっていくという事柄もあります。近頃、失くしたものの重さを考えさせられたこと。その最たるものが、人の情けや優しさであり、政治家や官僚の信念や矜持、潔さであり、企業人のモラルといったものではないでしょうか。

昨今の止まるところをしらない様々な偽装や隠蔽問題、荒廃した世相がもたらす陰惨な事件の数々、当事者たちはたぶん、どんなに大切なものを失くしているのか気付いていないのです。気付いていないからこそ事を起こす(あるいは起こさないという不作為)のですが、事を起こした後も依然としてまだ気付いていないのではないかと、首を傾げることもしばしばです。

「不易流行」という言葉があります。新しいものを求めて変化していくことこそが普遍性の本質である、というような意味ですが、これは単に表面的な新しさだけを追い求め、根っこの大切な理念を捨て去るということではありません。そういう根っこの部分をちょっとだけ考えてみる雑学、時にはそんな風変わりな雑学があってもいいのではないでしょうか。

この本は、対象は何でもいい、1つの知識から身の周りの何かを省みるきっかけになってくれれば、という思いでまとめたものです。私たちの身の周りの事象を7つのカテゴリーに分け、ミニうんちくを交えながら、読みやすいように見開き2ページに1項目をまとめました。真面目な話ばかりでなく、モノローグ調やショートショート風、下世話な話もいくつか散りばめましたので、楽しく読んでいただけるものと思います。

どこからどんなふうに読んでもOK。1つの知識を得ることで時にはふと立ち止まり、何か大切なものを失っていないか省みる。そんな思いをちょっとでも持っていただけたら、雑学ももっと奥行きのある面白いものになると思うのです。

もとより筆者が気付かない点も多々あるかと思いますが、不備な点や思い違いがあればご指摘いただければ幸いです。では、とにかく、一味違う雑学の世界へトリップしてみてください。



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