きらる14

( 返信 )




「道」  牧本京一

僕の部屋から見える
一本の道に
死が
骨の様に
白く
とがって
突き出している
毎夜
決まってそこで
人が
夢の様に
ころぶ



「オイル」  はるな

言葉はしめっていたがよく燃えた
ガス・スタンドの男と
寝てきたせいだろうか



「紙の種類」  草野春心

膝を折って
床の上に散らばった
数枚の紙の、種類をかぞえていた


たえがたい白さは
閉じたドアを容易くすりぬけ
光へと落ちぶれ
痩せた手の甲にふれる



「RE:」  そらの珊瑚

あいかわらず指がしびれている
十本の神経のうち
一本が不通になっているかんじ
寒いとそれが
二本、三本になってゆく
包丁は持てるけれど
皿をすべらせ今月すでに二枚割っている
皿が宙を舞うときはまるでスローモーション
地に落ちるまでのありようが一篇の詩のようだから
粉々になった欠片を集める時はいつもわたしを
哀しみの中心にいる気にさせる

音信不通になった彼らの
RE:は ない



「少年と空」  邑輝唯史

空の孤独を
本の中で知った少年

都会の中で空は
壁と壁の間に引きこもり
草原の音楽を耳に当てて聴いている

少年の孤独を
雑踏の足音の中で知った空

都会の片隅で少年は
人と人の間で迷子になって
耳をふさいでうずくまったまま


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