right away




「far away」 by 山岡稔

とにかくどこかへ行きたかった

券売機で買える一番遠い町へ
目的もない僕が選んだ方法
それが中途半端だとは分かってる
あと一歩を踏み出せなかった

たどり着いたのは田舎町
特別でもないありふれた風景
それが残念でもあり安心できた
はみ出す勇気なんてなかったから

そもそも逃げたのはなぜだろう
どこにいても僕は僕に決まってる

見渡す景色は何の変哲もない
これが欲しかったものだろうか
自問してみても答えは出ない
あやふやな感情が騒ぐだけ

期待なんて初めからしてない
そううそぶくのなら簡単だった
何かが見つかるなんてありえない
僕自身が信じてもなかったから

片道一六六〇円の逃避行だった



「折り返し地点」 by 甲斐聖子

むしろそれは言い訳だった
忘れられない
なんて言えばきれいなのか
忘れられない
記憶を歯の奥に住まわせて
涙に砂糖たっぷりの食事をさせて
前に進んでる
なんて勘違いが恥ずかしい
折り返し地点を歩み続けるきみは
過去にとらわれ虫歯に悩まされる
痛い痛いと泣いて見せればいいと
いつの間にやら流されてしまった
忘れられない
きみの物語、
そしてそれは言い訳なのさ


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