NO REASON




「キャラメル」 雪藤カイコ

砂糖と水を混ぜて火にかける
キャラメルを作って甘い香り
甘い香りで部屋中をくるくる
余計なものは捨ててしまおう
思い出したくない写真なんて
ガスコンロの火で燃やすんだ
チリヂリになった家族との絆
もともと絆なんてなかったか
アメリカドラマに憧れてた私
そんな私の目からこぼれる涙
誰も気づきはしなかったよね
でもそれでいいと思ってるよ
もう、それでいいと思ってる
砂糖が溶けて甘い香りがいい
部屋中に溶け込んでいくよう
箪笥のすき間もカーテンにも
時計の後ろも私の過去達にも
甘い香りが溶け込んでいく夢
そんな夢をみてもいいでしょう?

だって、空の雲は白くてまるで綿菓子だから



「記念樹」 青葉茂

いつも
歩く練習をしている
うまく
歩けるようになったら
ひとりで歩いて
歩いて駅にいって
電車に乗って
家に帰りたい

帰るための
歩く練習をして

うまく歩けたその日には
記念樹を植えたい

いつかはトパアズ色に空が暮れる
その時までに植えられたらいいのだと
いつも思っている


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