私という名の朝 芥川哲也/作 |
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生まれる前は 種のように 何もかもが 自由に動きまわれた 今は 根のはえた野花のように そこにじっとしている 身は自由でも 心は(いつも)そこにじっとしている |
けれども初夏 はるな/作 |
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さみだれは あっという間に食いつくされてしまった 季節の名のつくものは だいたいひとがむらがって 食いつくしてしまった けれども 初夏 涼しくわらう目元に わずかに残されたおさなさにはだれもさわれなかった 自然にただただうしなわれるだけのものには だれもさわれなかった |
小鳥 邑輝唯史/作 |
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都会の人々が いっせいに蝋燭に 明かりを灯したその夜 ひとつの灯が 消えた わたし… それっきり くちびるは動こうとは しなかった 友人の一人は 彼女の瞳は笑っていたと言い 別の友人の一人は 哀しげだったと言う 帰り際 それぞれ彼女との思い出を語りながら 夜の暗闇に散って行った 一人の青年が 小枝に止まっている 小さな鳥に気付く そして つぶやいた 君だね |