My Way




「囚われ人」 紫音

たとえば少女が銃を撃ち刀を抜くわけです
年端もいかないそれが容赦なく無表情に或いは歓喜の中で
それを見ながらまた快楽と愉悦に咽ぶわけです
その少女の腹には胎児がいるのかもしれず
またはその背がぱっくりと割れて異体が現れるかもしれず
それを期待しながらどこかではそれがただの
そう、どこにでもいるただの少女であることを期待しているのです
少女、或いはある場合には幼女が
このような異形であることは
ただそれへの畏怖であるのかどうか
硝煙と、或いは血飛沫と、その組み合わせは
非日常の幻想を滾らせ歪ませ
白昼夢の奥へと誘う
ただそれだけのことかもしれず
その畏怖と憧憬の綯い混ぜになったそれは
結局は東京ビッグサイトで昇華するだけなのかもしれず
そこにはいささかの涙と汗と、些細な夢と
大金という現実が交錯するだけなのです
次元の狭間の囚われ人
それは果たして誰なのでしょう



「前髪」 小西とっこ

あるくあるくあるく、あくるあさもあるく
スキップしたら切符、ポケットからはらり

君の咳のとなりで、ぼくの咳がひびく
かるいかるいかるい切った前髪かるい
優しそうなお店を見つける旅、足元はカエル色の長靴

あかいあかいあかい、とかいにあかいひがおりる
カエル色の長靴を履いたぼく、歩いて家に帰る
あるくあるくあるく、歩いて家に帰る

あるくあるく、LOOK!
ぼくのおでこ、LOOK!
前髪、on the まゆげ!


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