統失




私は現在「障害者手帳」を持っている。精神障害の三級である。

平成二十年十二月に新規で申請をした。医師の診断書と申請書を持って市役所へ。数ヵ月後、私は「障害者手帳」を交付された。

もらうまで、どんな手帳なのか、すごくわくわくしていた。が、実際に交付されると少しがっかりした。そこには顔写真が貼り付けられた、厚紙で出来た・・・、まるで子どもが遊びで作ったような手帳があった。これでも正式な交付文書だというのだから、驚きだ。

手帳の有効期限は二年間。いろいろなサービスを受けられることを知った私は、さっそく、携帯電話会社の窓口へ行く。障害者専用の割引サービスを利用するためだ。サービス名は「ハーティ割引」(NTTドコモ)という。通話料などが60パーセントOFFとなるのだ。

普段からあまり電話をしない私。職場でも電話は取らなくて良いことになっている。

そうというのも、低い音や声が聞こえづらい。特に受話器を通しての声は聞き取りがたく、幻聴も一緒に聞こえるので、果たして現実に聞こえているのか幻聴なのかが分からなくなる。また、職場の電話の受診音が聞こえないのである。同僚に言わせると「低い小さな音」らしいのだが、私の耳には聞こえてこない。気になり、耳鼻科を受診したこともある。聴力検査では、やはりというか「低音が聞こえづらい状態」と言われた。これは、場所によってもかわるそうで、事業所のようないろんな音がする場所では聞こえないこともあるそうだ。もっぱら電話は携帯電話を使うようにしている。携帯電話では、低い声の人でもある程度、高音に変換されて聞こえてくるから、助かっている。

耳が悪いわけではない。耳から入ってきた音や言葉を処理する脳の一部が悪いのだ。この状態を人や親に話すとき、私はよくこんなふうに話す。

「ストレスで情報を処理する脳の一部が麻痺している状態なんだって」

私が「精神障がい者である」ことや「福祉手帳をもっている」ことは、いまのところ、家族内では、三つ離れている弟にしか話していない。弟はごく普通に受けとめてくれた。

「姉ちゃん、気にしすぎ。俺だって、うつ病にはなったことあるから」


書籍の購入方法

詳細ページ

本棚ページ

トップページ