作者名 | 作品の分類 | ページ数 | 書籍サイズ | 定価(税込・円) |
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渋山昌雄 | 哲学 | 186 | A5 | 1,870 |
ISBN |
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978-4-901351-60-7 |
概要 |
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“Bioethics”が「生命倫理学」という訳語に定着してから久しい。さすがに今日では「変な宗教団体の教え」などと考えている人はいないだろう。しかし10年ほど前までは、医学関係者においてさえ、誤解の絶えない学問領野であった。元来「生命倫理学」の領野は、学際的領野というのが一つの「うり」であったが、私が見た限りでは、その関わっている研究者のうち、約8割を医療関係者が占めている状況であった。哲学・倫理学の研究者からの発言が少ないとは言えないが、彼らの発言は、思弁的・論理的思考に重心を置くものが多く、教育という伝達的営みを忘却したものが多かった。 教育学的視点から、新しい医療・技術にともなう倫理的諸問題をどのように受け止め、そして伝えたらよいかを考えることは、すでに医療問題の枠組みを超えているといってよい。従来の生命倫理の諸問題を教育学的視点から考察したとき、生命倫理の枠組み自体が変容する可能性を得てくるのである。 本書は、枠組みの変容が要求されている生命倫理の概念(環境倫理を含めた)と、いまだ市民権を得ていない“Educational Ethics”(教育倫理)の概念を交差させることに絶えず注意を払っている。教育の倫理性を主題化することは、同時に生命倫理のもつ倫理性をも主題化することを意味している。 |
目次 |
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まえがき 第1章 倫理と道徳教育 1 実践的自由概念の諸相−道徳・生命倫理教育の展望における (1)倫理的自由 (2)道徳的自由 (3)生命・人権と自由の方位 2 道徳性の次元−生涯学習を展望した道徳教育の定位 (1)人格の完成−訓育と道徳化 (2)功利主義の道徳性の次元−帰結主義 (3)実用主義の道徳性の次元−怜悧と自愛 (4)正義論の道徳性の次元−公正 3 倫理と教育−教育目的と研究倫理に関して (1)教育目的と倫理−主体性・創造性と共同体 (2)教育の研究倫理 4 性と教育−ジェンダー・フリーの不安と課題 (1)男女の職業的すみわけ (2)社会構造とジェンダー (3)男女の同質化とTV,TG,TS (4)ジェンダーと人間性 第2章 生命倫理と人間の尊厳 1 生命倫理学の一系譜 (1)トゥーリーのパーソン論 (2)動物への配慮−シンガー (3)厳密な意味におけるパーソン−カント (4)パーソンの社会的概念・社会的役割−エンゲルハート 2 遺伝子検査をめぐる問題−出生前診断と人工妊娠中絶 (1)倫理的問題とは? (2)「折り合いをつける」とは? (3)ケアの次元 3 安楽死問題における論理−生命倫理学の方法論的視座による (1)間接的・積極的安楽死、治療行為の中止 (2)倫理的方法論 (3)尊厳死と自殺 (4)道徳と法 第3章 環境倫理と教育の倫理 1 環境倫理と教育の倫理 (1)生命倫理の原則の変換と環境教育の課題 (2)環境倫理と環境教育 (3)生態系の保存と動物の権利 2 教育の倫理の課題 (1)道徳教育と教育の倫理 (2)応用倫理と教育の倫理 (3)教育の倫理の学問的課題 (4)教育の善性の疑義に対して 第4章 医療・教育と人間の尊厳 1 医療と教育 (1)医療と倫理、教育と倫理 (2)医療と教育−WHO(世界保健機関)の健康概念と教育目的 (3)医療倫理・職業倫理・生命倫理教育 2 教育と人間の尊厳 (1)人間の尊厳史と教育目的 (2)医療技術の発達−いのちの物化現象と教育の倫理的課題 (3)「死の準備教育」について−信仰と生命の相対化 (4)教育研究と研究倫理 あとがき 事項索引 人名索引 著者紹介 |