『生命倫理と教育倫理』

−倫理と教育の現在−



データ

作者名 作品の分類 ページ数 書籍サイズ 定価(税込・円)
渋山昌雄 哲学 186 A5 1,836

ISBN
978-4-901351-60-7




概要
“Bioethics”が「生命倫理学」という訳語に定着してから久しい。さすがに今日では「変な宗教団体の教え」などと考えている人はいないだろう。しかし10年ほど前までは、医学関係者においてさえ、誤解の絶えない学問領野であった。元来「生命倫理学」の領野は、学際的領野というのが一つの「うり」であったが、私が見た限りでは、その関わっている研究者のうち、約8割を医療関係者が占めている状況であった。哲学・倫理学の研究者からの発言が少ないとは言えないが、彼らの発言は、思弁的・論理的思考に重心を置くものが多く、教育という伝達的営みを忘却したものが多かった。

教育学的視点から、新しい医療・技術にともなう倫理的諸問題をどのように受け止め、そして伝えたらよいかを考えることは、すでに医療問題の枠組みを超えているといってよい。従来の生命倫理の諸問題を教育学的視点から考察したとき、生命倫理の枠組み自体が変容する可能性を得てくるのである。

本書は、枠組みの変容が要求されている生命倫理の概念(環境倫理を含めた)と、いまだ市民権を得ていない“Educational Ethics”(教育倫理)の概念を交差させることに絶えず注意を払っている。教育の倫理性を主題化することは、同時に生命倫理のもつ倫理性をも主題化することを意味している。




目次
まえがき

第1章 倫理と道徳教育
  1 実践的自由概念の諸相−道徳・生命倫理教育の展望における
     (1)倫理的自由
     (2)道徳的自由
     (3)生命・人権と自由の方位
  2 道徳性の次元−生涯学習を展望した道徳教育の定位
     (1)人格の完成−訓育と道徳化
     (2)功利主義の道徳性の次元−帰結主義
     (3)実用主義の道徳性の次元−怜悧と自愛
     (4)正義論の道徳性の次元−公正
  3 倫理と教育−教育目的と研究倫理に関して
     (1)教育目的と倫理−主体性・創造性と共同体
     (2)教育の研究倫理
  4 性と教育−ジェンダー・フリーの不安と課題
     (1)男女の職業的すみわけ
     (2)社会構造とジェンダー
     (3)男女の同質化とTV,TG,TS
     (4)ジェンダーと人間性

第2章 生命倫理と人間の尊厳
  1 生命倫理学の一系譜
     (1)トゥーリーのパーソン論
     (2)動物への配慮−シンガー
     (3)厳密な意味におけるパーソン−カント
     (4)パーソンの社会的概念・社会的役割−エンゲルハート
  2 遺伝子検査をめぐる問題−出生前診断と人工妊娠中絶
     (1)倫理的問題とは?
     (2)「折り合いをつける」とは?
     (3)ケアの次元
  3 安楽死問題における論理−生命倫理学の方法論的視座による
     (1)間接的・積極的安楽死、治療行為の中止
     (2)倫理的方法論
     (3)尊厳死と自殺
     (4)道徳と法

第3章 環境倫理と教育の倫理
  1 環境倫理と教育の倫理
     (1)生命倫理の原則の変換と環境教育の課題
     (2)環境倫理と環境教育
     (3)生態系の保存と動物の権利
  2 教育の倫理の課題
     (1)道徳教育と教育の倫理
     (2)応用倫理と教育の倫理
     (3)教育の倫理の学問的課題
     (4)教育の善性の疑義に対して

第4章 医療・教育と人間の尊厳
  1 医療と教育
     (1)医療と倫理、教育と倫理
     (2)医療と教育−WHO(世界保健機関)の健康概念と教育目的
     (3)医療倫理・職業倫理・生命倫理教育
  2 教育と人間の尊厳
     (1)人間の尊厳史と教育目的
     (2)医療技術の発達−いのちの物化現象と教育の倫理的課題
     (3)「死の準備教育」について−信仰と生命の相対化
     (4)教育研究と研究倫理

あとがき

事項索引
人名索引

著者紹介


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